福岡で感じたこと。

htnkmst2007-12-05

以下福岡のデザイニング展と今回「北」と「南」が交流した「SOUTH JAPAN ACTION!」のシンポジウムについて、個人的に感じた印象や思ったことです。こんな長文誰が読んで下さるのか。。。

1)「札幌と福岡の違い」
福岡は若い世代(特に30代前後)が非常に活発。デザイナー・クリエーターの自主的かつ組織的な動きが多い。イベントなどの主催、運営、スポンサー集め、メディアへのPRなどを彼ら自身と民間のサポーターが全て行っている。自治体、行政との連携はあまりない反面、補助金助成金に頼る体質はほとんどなく、民間主導のムーブメントになっている。また若い世代が既に学生とのコミュニケーションを模索している。これは新しい人材との交流が発展し、何か新しい動きを生み出す機動力のひとつになる。ただし、40代以降の世代との交流があまりないように感じた。今後社会的な摩擦が起きないように情報交換の場をより増やすべきだと感じたが、既にその動きはスタートしている。
「札幌は40代以降が非常に活発」
ICCなどの中心的な施設があることで、もの作りをする環境や市をあげて創造都市を発信する基盤が整っている。国内外からの注目も多い。ただし行政からの焚き付けは非常に多い一方、地元の若い世代のクリエーターの中で組織的かつ自主的に何かを主催・運営・営業・PRをしようとする動きや人材が少ない(行政に頼らずともやっていける自活力はクリエーターの必須能力のひとつ)。その一方、40代以降のベテラン世代の社会的な影響力は大きいので、その下の世代にうまく連動させることでコンテンツ産業の分野では大きな結果が得られる可能性が高い。

2)クリエーター(まはたアーティスト)と金銭感覚。
札幌では、クリエーター(まはたアーティスト)が作品を作ってそれに見合った金額をもらえない事を仕方ない事だと捉える風潮がなんとなくある。その仕組みを変える動きはほとんど皆無で、その風潮に甘えるクライアントも非常に多い。「予算はないんですけど」はほとんど口癖。しかしそれでも作品を作る強い精神力を持った人がとても多い。その反面お金のことを言うコミュニケーション能力やマネジメントをする人材が少ない。福岡では(知っている限り)予算がないことを出発点にはせず、どうすれば予算が増える仕組みを作れるのかをクリエーター自身が考えている。デザイニングは福岡(九州)のデザイン産業のビジネスの可能性を模索するための受け皿のひとつとなっている中で、作品(または商品)の質とお金とのバランスとを常に考えているプロデューサー志向の高いデザイナーが多いと感じた。僕は持論として、作曲家が音楽作品で稼いで何が悪いのかわからない。むしろ自分の価値を安売りされ精神や生活をぼろぼろにされる方がもっと嫌だ。
フリーランスでも安くて嫌な仕事なら、気持ちをごまかさずきっぱり断るくらいのスタンスの方が未来に繋がる(結局自分に嘘はつけません)。そのかわり条件が悪くても、ぜったいやりたい仕事は最後まで責任をもってやり遂げると、いつかご褒美がきます。しかしそれにはご依頼頂くクライントにとって最良のお仕事をしなければいけない、という絶対的で基本的な目標を果たさなければいけません(それはどんな分野のお仕事でも)。

3)イベントの協賛(スポンサー)について
ここだけは共通しているが、スポンサー企業の大半が東京で、地元企業の協賛がほとんどない、という寂しい事実。 ただし一方的に嘆くのではなく、地元企業がその価値を見出し、交流や投資をしたくなるような環境や仕組み作りをもっと議論して整えるべき。

4)素朴な疑問。
札幌にしろ、福岡にしろこうしたイベントやムーブメントについて市民の皆さんはどう思っているのだろうか。僕は、デザインやアートやいろんな文化に触れることがもっと当たり前のことになってほしいと思っているが、それは自分が作る側の立場にいるからそう思っているかもしれない。その街に住んでいる人たちはどう思っているのだろう?もしも全く興味がないのだとしたら、作り手側にいる人はどんな努力が必要なのか。もしも一緒に盛り上がって下さっているとしたら、もっと発展や交流ができる機会や時間を作り手側から積極的に作るべきだと思う。

5)地域ごとの地元メディア
地元メディアは一体何にだったら興味を示すのか?例えば札幌にはNMAのような大変意義のあるコンサートを行なうところもあるし、琴似にあるコンカリーニョは地域交流と舞台芸術の新たな関係を模索している。ICC以外にもいろんな動きがある。札幌というアクセスしやすい街で現場取材もしないで記事を書く記者が増えているという話を伺う事が少なくない中、こういう文化的な地域情報はきちんと地元マスメディアが好奇心をお持ちなって扱うべきであって、何もしないで第三者的な目でみることはジャーナリズムではない、と思う。

6)じゃあお前は何ができるのか?
人様のことをあれこれ言える立場じゃございません。すみません。できることからコツコツやります。。。

以上6点ですが、札幌と福岡は僕には何となく対照的に見えました。特に世代間のネットワーク、官と民のフットワークの違いなどは、お互いに大変苦労されていると感じました。とはいえ、どちらにも大きな可能性を感じました。
以上、福岡で感じたことでした。そんでもって、自分の身の回りを見て感じたことなので、これが全てじゃございません、あしからず。「北」と「南」の新たな交流の場ははじまったばかりですが、とても有意義な時間でした。