『21世紀人』展がスタートしました!

htnkmst2008-03-31

昨日より「第3回企画展 三宅一生ディレクション - 21世紀人 XXIc.」が21_21 DESIGN SIGHTにてスタート致しました。
http://www.2121designsight.jp/
私はいつも、音で空間を彫刻したいと思っています。音は時にオーケストラのように空間を調律し、空間そのものから漂う情景と響き合うような存在であると思うからです。空間と最も調和する音を彫刻のように浮き彫りにしていく作業は困難の連続です。しかしながら、すでにその空間がもっている完全な美しさが内包されていればいるほど、音の原石が確かにそこに存在しているのです。私はいつもその原石を無心で彫り続けることで、その核心に辿り着けるのだと信じています。今回の三宅一生さんのインスタレーションを音でも表現するときに重要になったのは「恐怖と希望」という相反する情景でした。これまで自分の中での「恐怖と希望」は全くの対照的な存在で恐怖は負、希望は正、という既存の枠の中に押し込めていました。しかし、三宅さんの作品ができあがっていく過程の中で、恐怖も希望もときに闘いながら、ときに迷いながらも力強く歩き進まなければ向き合いことのできない、どちらも大きく力強い魂のエネルギーの原石そのものである、と捉えるようになりました。それはまるで磁石のSとNのように、一見相反する存在でも、魂のエネルギーという一本の線でつながっている大きなうねりのように感じたのです。
三宅一生さんという偉大な表現者の背中から教わる事はあまりにも大きく、その一言ひとことに含まれるメッセージはあまりにも深く、大切で、日々、感動や発見の連続でした。その印象や感動を自分なりに音で表現したいと強く願い、その思いが私を突き動かしていた気がします。また、今回ご出展された 素晴らしい表現者の皆さまの個性と世界観、そして、今回会場構成を担当されたデュイ・セイド氏のストーリーに導かれての作業は、音色の調和を計る音楽そのものであり、私の人生に大きな学びと幸せの時を与えてくれました。音は目には見えませんが、確かにそこに存在する。人の気持ちや想い、不安や愛情が姿に見えないのと同じように、サウンドアートは多くのメッセージやヒントを読み解く音の鍵となるかもしれない。私はそのような音のあり方と可能性を信じています。私も21世紀人の一人として、音を通じて世界と真摯に向き合い続けます。また、今回もヤマハさんの音響技術がなければ成し得ませんでした。展示スタートぎりぎりまでお付き合い頂き、技術的にも精神的にも支えて頂いたヤマハの清水さん、秦さん、杉井さん、旭さんそして広報の皆様には感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。そして何より相方の連日の渾身のサポートに何度も救われました。いつもありがとう!そして最後に、多大なご協力を頂いたご関係者の全ての皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!!
畑中正人
http://www.hatanakamasato.net/