コンカリーニョ

今日、琴似のコンカリーニョでコンテンポラリーダンスと映像と音楽とのコラボレーションを行った。そのほとんどが即興で行われ、自分自身も久々の即興演奏だった。いっしょにセッションしたのは西村さんと塚原さん。 いままで何度もやってきたメンバーなので不安はなかった。全体リハが本番1日前のみという恐ろしい日程を経て行われた本番の後に襲ってきたのは、「浮遊感」だった。脱力感でも虚無感でもなく達成感でもない。ダンサーや映像、照明の人たちを含めて、10人を超える中でやること自体滅多にないことだが、一言「呼吸が多すぎる」ステージだった。一人ひとりの呼吸が連鎖ではなく、連続してしまったことが、自分自身の中で浮遊感を生む結果となった。このことがいい事なのか悪い事なのかは、わからない。しかし自分の演奏が消化不良のまま終わってしまったことは事実だ。50分という演奏時間の中で、いいなと思ったのはたぶん10分間ぐらい。改めて自分の未熟さを知ることとなった。
即興演奏は決められた演奏をするのとは違う技術と感覚を必要とする。集中力もそうだし、数秒の反応の遅れが致命的な結果を生む事だってあるし、数秒のハシリが絶大な効果を生む事だってある。とにかく瞬間瞬間の積み重ねを持続させるには、相当の経験とセンスが必要だ。話しはそれるが、個人的には「場所」のこともあった。いつもコンカリーニョでやる時は、かなりの気合いがいる。言葉では上手く言えないが、黙っていると演奏が飲み込まれるくらい、強い磁場と重力がそこにはある。いままでも上手くいったことは、少ない。かなり体調と精神を安定させなければ、自分にとっては難しい場所だ。だからこそ、やりがいはある。しかし今回も悔しいが、負けてしまった。西村さんも塚原さんもとても良かった。だが、自分はまだまだ青い。うまく演奏をコントロールできないまま、何となく終わってしまった。何度やっても「即興演奏」は難しい。しかし、何度やっても答えのない「音楽」という存在の面白さを改めて知った1日だった。
畑中正人
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