今日は一泊だけの日程でコペンハーゲンデンマーク)へ。ネザランドダンスシアターのヴァスラヴとハンブルグバレエのイリのデュオ公演視察(?)がメイン。実はステージ上で流す映像を端さんが急遽制作したので、それも見たかったのもあるし、来年のことで彼等といろいろと話したかったこともあった。何はともあれ二人いっぺんに会える機会なんかそうそうないからね。ハンブルグからは列車で4時間。途中列車は船に乗るんです(ほんとに)。行きの途中たまたま前に座っていたノルウェー人のご夫婦、僕のビデオカメラを見て唐突に話しかけてきた。まぁいろいろ話していたら何と音楽のオーガナイザーだった。なんて偶然。早速売込みしておきました。どうやら奥さんのいとこも音楽家で、今はロスでエレクトロニクス系の音楽をやっているらしい。しっかしどこで誰と知り合うかわかりませんね。
正午過ぎ、コペンハーゲンに到着。曇り空(あ〜あ)。中央駅にはたくさんの人。そうデンマークはユーロじゃないから換金しないといけない。ん〜どうやら物価は高く感じる。でも貨幣価値がさっぱりわからない。ガムひとつが6KR。ファミレスのランチが149KR。テレホンカードは100KR。毛皮のコートは6000KR。で、コーヒーは20KR。ねっ?いまいちピンと来ない。 ところでKRってなんて読むんだ?まぁ一日しかいないからいいけど。 驚きだったのはセブンイレブンがある事!!しかも24時間!!!もー、ハンブルグにも早く作りなさいっ!!!!もちろんおにぎりや弁当はないけど、日本人のコギャルとギャル男を発見。なんでこんなとこにいるわけ?(別にいいけど)しかもセブンイレブンに入り浸り。何か小さな店がダァーっと並んでいるし、すごいたくさんの人が歩いてるし、あーなんだか段々新宿に見えてきた。
まぁとにかく公演まで時間があるので、知人から教えてもらったとあるエリアへ。 そこには小さな入り口があって、小道を歩いていくと「写真撮影禁止」と書かれた看板がある。で、その境界線を越えるとそこには何とドラッグの露店が!!しかも1件や2件の話しじゃなくて何十件もある。そしてあやしい服店や飲み屋もある。これはエリアというよりひとつの街。どうやらここの主たちはこのエリアに住み、庭で大麻などのドラッグを栽培し、加工し、それらを売っているらしい。 撮影禁止ってことは国はこれを黙認している上で取り締まる事を放棄しているように思える。これはデンマークのように小さな国にしかできないことかもしれない。地元の人たちはそこを「Free Town」と呼んでいて、若者を中心に酒を飲んだりドラッグを買ったり、古着を買ったりしているようだ(もちろん俺はドラッグは買っていないから御心配なく)。
とにかく衝撃。コペンハーゲンってよくお皿やデザインやおしゃれな街のイメージだけど、これにもうひとつ別のイメージも追加された。 デンマーク人への印象は、税金が高いかわりに社会保証が安定していて、ドイツ人より精神的に余裕があるのか、とても穏やかで人に優しい。俺は勝手にもともと海賊の遺伝子を持っていて血の気が多いのかと思っていたんだけど、全然そんな事はありませんでした。
さぁフリータウンを抜けていよいよ公演会場へ、って全然雨がやまないなぁ、って会場着いたらゲッ!!!野外ステージじゃねーか。大丈夫なのか!?会場前で待つ事1時間。イリとヴァスラヴ自家用車で登場。ヴァスラヴとは昨年の岩見沢以来の再会。会うなり「オッツカレサマデ〜ス」。おっ、昨年教えたらほんとにその日本語使ってる! そう、日本の業界では常識単語なのです。でも「デ〜ス」じゃなくて「デスッ」!「オッツ」じゃなくて「オツ、オツカレ」なんてやっている間も雨は止まない。でもまぁイリは晴れ男だし大丈夫でしょ。とにかく開演を待つ事に。
20時、お客さんが集まりはじめる。今夜はプレミア公演、客の全ては招待ということでマスコミなんかも多く来ている。そうそう遅れちゃったけど、この会場は普段は獣医のための学校で、学校が空く夏休みを利用して毎年コンテンポラリーダンスのイベントをやっている。 だいぶ定着しているイベントのようだ。雨も止み始めたし、いい感じ。スタッフもとても優しい人たちで、仕事もテキパキ。この間にもステージ上の水をモップでせっせと取り除く。ステージも渇いてきたし、いよいよ定時スタートーゥ!!!ってはしゃいだ瞬間、すごい雷音と共に豪雨が会場全体を叩きつける。あ〜ぁぁぁ一番恐れた事が・・・。スタッフはステージ上でモップをもったまま、おじぎで御挨拶。おいおい客拍手してんじゃねーよ。えぇー、どーいう事よ!?ハンブルグから来たんだよー、しかも翌日帰らなきゃいけない。早速舞台裏へ行ったら一番落ち込んでいたのはスタッフと出演者たち。そらそうだよな。ヴァスラヴもこんな状況で中止を経験したのははじめて。スタッフのチーフは日本語で「サイアク、サイアク」を連発(吹き込みは俺)。イリ、こうなったら飲みに行くぞ!って言ったらレセプションパーティー(客を招待しての打ち上げ)は予定通りやるとの事。
はぁ〜とりあえずタダ酒タダ飯で我慢しましょ。 とにかくこの場は俺もしゃべりまくろう。普段の何倍も英語で話す。イリとヴァスラヴとはしゃいでいるうちに段々悔しさも解消され、調子に乗ってもう一件!結局夜中2時近くまで飲み明かし、ふたりが滞在するアパートへ。もともとここに泊まる予定だったが、すごい部屋数。あ〜、まぁ来てよかったか、何より二人に会えたし話せたし、来年の話しもいろいろ出来たし。ヴァスラヴ、今度はオランダに見に行きます。 イリ、帰ってきたら寿司パーティーね。とにかく呼んでくれてありがとう!!翌朝は朝早く起きて二人と別れて一路ハンブルグへ。コペンハーゲンから離れれば離れるほど天気が良くなってくる。なんだよ、行きの時は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ばりの重い景色だったくせに。 夕方ハンブルグ到着。快晴、そして高温。翌日高熱。
畑中正人
http://www.hatanakamasato.net/