先日ジョン・ケージとマースカニングハムのドキュメントフィルムを見ました。嫁さんの知り合いの旦那様が取材・撮影し、ドイツの放送局でOAされたもので、撮影した方の奥様(つまり嫁さんの知人)から直接お借りしたのです。その御夫妻は当時交流もあり、ケージ氏はとてもきさくで皆の良きお兄さんだったと聞きました。公演の際は自ら車を運転し、ダンサーを乗せて、いつも笑顔を絶やさない。実際そのドキュメント・フィルムを見てみると、今迄知らなかったケージの姿がそこにありました。当時から決して裕福ではなかったのだろうけど、彼の笑顔と澄んだ瞳を見ていると、これまで自分の頭の中で想像していたケージ像は一気に消えていきました。こんなに明るくてオープンな人だったとは・・・。ケージは何も頭でっかちにあのような音楽をやっていたわけではなく、そのほとんどが現場で積み上げられたものだった印象を受けました。よく彼の音楽は偶然性とか何とか言われていますが、あの現場で出来る最善の事をしているという点ではあのような音楽が必然的に生まれる環境だったのだと思います。自分もあれだけ笑いながら生きて、そして音楽をやっていける人間になりたいと思いました。本当に良いものを見せていただきました。うちの嫁さんと制作者の奥様に感謝致します。ありがとうございます。
畑中正人
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