ハンブルグで2番目に大きいダイヒトアハーレンという美術館でのソロライブ。といっても日本のマンガ展のオープニングアクト。だから俺が目当てじゃない。そもそもは1ヶ月半くらい前に話しをいただいていたんだけど、予算とか色々問題があってキャンセルになっていた。それが開催3日前になって急遽「やっぱり出てくれ」ってことになったんですな。案の定会場へ行くとスタッフは何も聞いていないし、ディレクターもオーガナイザーもいない。仕切りの悪さといったらない。この展覧会の準備自体、美術館側の要領が悪かったというのは噂で聞いていたけど、何時から演奏するのかもわからないし、ステージなんかなくて入り口近くの環境の悪いところだし、テーブルが必要だと言ったらイスを持ってくるし、何よりタダ働きだしなー。・・・でもねぇ〜、かけだしの頃を思い出しましたよ。そういや20歳くらいの時はそうだったよな〜。それに俺はこっちじゃキャリアないしね。ま、仕方なし。とにかく演奏してりゃいいんでしょ?てな事で久しぶりに40分近くソロ演奏。ん〜、客は常に移動しているし、紹介もなければ拍手もなにもないし、こうなりゃ逆にボリューム上げるのも負けた気分だな、下げてやれ。リングモジュレーションを使って即興で鐘みたいな音を作り、倍音を微妙なボリュームで、間を空けながら数回繰り替えし演奏すると、面白いもんで話しこんでいる人が段々こちらを気にするようになってくる。ピアノみたな楽器音は当然反応するんだろうけど、ゆ〜っくりと会場に音をなじませていくと、拒絶反応でも完全受け入れ体制でもない不思議な状態になっていく。 札幌にいた頃、専門学校の授業で音楽関係のビデオを見せてた時に、ボリューム上げて見せると、授業の後半には生徒たちがそれに負けない大きな声で話しこんじゃっていた。それで、試しに普通に家でテレビ見るくらいの普通のボリュームで見せると、だんだん教室が静かになってきて、やがてほぼ全員がテレビの方へ注目したという経験があった。これは話している自分の声がテレビより大きい=自分が授業のさまたげになっているかもしれない、という認識を生む。この日はそれに近い状態だったのかも。んーこれは個人的には面白い経験。こういう場合にはこの方法は効果があるかもね。まぁ楽しめましたよ、さぁさぁ帰りましょう、仕事もあるしってことでこの日は家路へ。翌日、もともとこの話しを持ってきて、かつ俺をプッシュしてくれたグラフィックデザイナーでこの展覧会のエージェント会社勤務のこーちゃんより(TOPページの写真は彼の手によるものです)メールで、ダイヒトアハーレン側が先日の演奏を高く評価。あさってもう一度演奏してほしい。との内容のメールをいただく。あら?そう。向こう側が望んでいるんだ。これは演奏しないとね。が、演奏時間2時間という内容を見て「ゲッ」。これはまた入り口で演奏か?と思ったが、今回は中にステージを用意するということで、CDも売っていいし、仕事として演奏してもらう。自由にやってくれ、この日はこの近辺のギャラリーと美術館が深夜まで開いていて、何千人も来場するし、急いでライブ告知のポスターも用意する、ということなんで、一安心。でも2時間連続なんてやったことないからな〜。集中力持つのか?ていうか集中力使わない方法で演奏しないともたないね、きっと。さぁあと7時間後には演奏しに出かけなきゃいかんし、これから半身浴で頭を覚まさなきゃ。結果は追って報告を。
畑中正人
http://www.hatanakamasato.net/