htnkmst2004-01-13

産みの苦しみ。ベルリン映画際からのお題「ラン・ローラ・ラン」のワンシーンへの音楽。本編を見たのは随分前のような気がする。どんなサントラだったか、あまり憶えていない。今回のコンペではわずか2分程度のシーンに音を付けるわけだが、その短さがかえって難しい。フォルクスワーゲンとアニメの2作品はあっさり作業が終わったけれど、最後の砦が崩れない。迷っているそのシーンには所謂「音楽」は付けたくない。でも単なる「効果音」にもしたくない。そんなこんなでたった数秒の音のために丸4日間、頭の中で何度もシュミレート。ここ最近はコンピュータの前でウンウン悩んで、鍵盤叩いて、音出して、なんて行程にどうもしっくりこないし、映像素材に音で垢を付けたくない。どっちかっていうと即興演奏をやる時に近い感覚。出したい音と神経と身体がシンクロしてくるような心構えで過ごす数日間。そして昨夜、5分間のコンピュータ演奏。 あっさり音が生まれた。その後の編集もわずか10分間。締きりにも滑り込みセーフ。産みの楽しさ。 作曲とは不可解なものだ。
畑中正人
http://www.hatanakamasato.net/