福島のこえ

福島県立美術館とGRINDER-MANのタグチさんのお声がけを受けて、参加させて頂くことになりました。今年の9月が発表会です。

「福島のこえ | 福島のいまを歌いませんか」
http://voice.grinder-man.com

これまでの音楽活動の中で「合唱」の作品を作ったことはありません。声だけで音楽をつくるということが果たしてどういうことか、このプロジェクトが進んでいくうちにどんなことが自分の中で起きるのか、そしてそれが一体どんな結果となるのか。そもそも自分のこんなちっぽけな能力で一体どこまでお役に立てるのか、現時点では正直不安だらけです。

最初にこのお話を頂いた時、何故か条件反射的に「やります」とお答えはしたものの、福島に縁もゆかりもない身ゆえの躊躇がまずありました。その次には心のあちこちから「やはりお断りしよう」という思いが湧いてきたのですが、後日「むしろ福島に縁もゆかりもない人に積極的に関わって頂きたい」というお言葉を頂戴して、あらためて決心しなおしました。

振り返れば「2011年」という年は3月に東日本大震災があり、翌4月には10年連れ添った妻が病死するという自分にとって一生忘れられない年です。当時山梨で暮していたあの年の春はどこかずっと心がフワフワしているようで、言い訳苦しいようですが1年を通じて震災の事もそして自分自身の事ですら何か別の世界のお話のようで、全く掴みきれないような状態でした。でもそれでも、もしもこうして直接的に福島とのご縁を頂けなかったら・・・とつい考えてしまいます。

これは自分にとってクライアントワークでもプライベート作品でもありません。「捧げもの」として音楽を生み出すという責任と喜びを噛み締めながら、福島のいまを、そして現地の声を、自分の感覚全てで確かめてきたいと思います。

畑中正人
http://www.hatanakamasato.net/